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Special Artist File:02 財部亮治

Special Artist File:02
財部亮治

「形を選ばない勇気を持つこと」

ミュージシャン・マルチクリエイターとして活動中の財部亮治さんを独占インタビュー!
専門学校九州ビジュアルアーツでのワンマンライブを終えたばかりの時間に、快くお受けくださいました。

《楽曲・活動紹介》
● アオハレ(東海オンエア「としみつ」& JENNI feat.)
● Kokomo(劇団スカッシュのドラマ主題歌)
● 届け(短編映画主題歌)
● 「YouTube Fan Fest」出演

ライブを終えた感想や、YouTubeでの投稿活動の実態、さらに! 話題を呼んだコラボ作品の裏側に迫りました!
また、多様化する音楽の荒波を越えるヒントの数々に、若きクリエイターはぜひご注目してみてください。

僕の動画を生活の一部のようにしてくれている

---まずは福岡でのライブ、お疲れ様でした!率直な今のご感想をお聞かせください。

久しぶりの福岡だったので、楽しかったです!
福岡は地元なので、個人的にはホームと思っていて、思いっきりのびのびとやれました。
それに今回は、初めましての方も多く来て頂いてすごく嬉しかったです。

---今回は専門学校でのライブでしたが、その点はいかがでしたか?

ライブの音響・照明、物販など、学生さんサポートの中で開催するライブは初めてだったんですけど、九州ビジュアルアーツの手厚いバックアップはとても頼もしかったです! 本当、ありがとうございます。

---ここから、財部さんの普段の活動についてお聞きします。財部さんはYouTubeに「歌ってみた」や自主制作曲、MVなどを投稿されていますが、特に注目すべきはその投稿頻度だと思います。多い時、週に4本は上げられていますよね?

そうですね、昔は月に1本とかもありましたが、今は自分の中で「最低週4」というノルマを意識しています。

---「最低週4」ということは、もっと増えることもあるということですか?

そうです。本当は1日に1曲でも多く上げたいんですが、1週間に3日は音源制作やイベントなどの予定が入るので単純に「仕方なく週4本になってる」っていうだけなんです。

---しかし、歌も動画編集も1日で全て終えることはハードなスケジュールではないですか?

でも嬉しいことに、僕の動画を楽しみにしてくれているファンの方々がいて、いわば財部亮治の動画を生活の一部のようにして待ってくれている人がいるので、そのことを思うとすごい原動力になるんです。


僕に求められているモノに気づいたから、変われた


財部亮治さん

---カヴァー曲の場合は「これを投稿しよう」と決まってから、どのようなスケジュールで進みますか?

例えば、その曲のピアノ音源があるという前提だと、[歌う]→[レコーディング]→[ミックス]→[動画編集]→[投稿]という流れになります。
だいたい5~6時間で終わらせるようにしてます。

---どのパートに一番時間がかかりますか?

これが昔と比べて傾向が変わってきているんです。
前は、その曲を十分に理解して「こういう作品にしよう」と構想を徹底的に作り上げてから制作に取りかかっていたので、1ヶ月に1本ぐらいの投稿頻度になっていました。
でも、ある日思ったのが、「僕の動画を見てくれる皆が求めているのって、『安心感』じゃないのか?」ってことなんです。
「このチャンネルにはこういう動画が上がる」って期待を裏切らないクオリティを日常的に提供し続けること、その方が求められていることに近いなって、思ったんです。

---例えるなら、安心して食べることができる定食屋さんのようなものですかね?

そうです! 変わらない味をコンスタントに提供し続ける、これってとても大事なことだと思うんです。
それに気づいてからは、投稿頻度が高くなりました。
動画制作におけるオーバーワークを抑えて、撮影を定点化するなど、効率化できたんです。
こうすることで1つでも音楽・動画を多く投稿できたので、「財部亮治のチャンネルにはこれが合っている」と気づきました。

---カヴァーと自主制作、それぞれで変化するアプローチや意識する点はありますか?

カヴァーの時は「アーティスト財部」ではなく「YouTuber財部」としてやる、という意識はあります。
「この曲をこの人はこう解釈して歌うんだな」と、そういう感じで見てもらえるといいかなって、思ってます。

---カヴァーする曲はリクエストから選定しますか?

そうです、実はそれに助かっている面もあるんです。
さっき話したような投稿スケジュールで活動していると、インプットの時間の確保が難しいことがあります。
でも、リクエストがあると人気の曲が分かるし、その時初めてその曲を聴くこともできるので、インプットとして有意義な時間でもあるので助かってます。

「アーティスト財部」と「YouTube財部」


財部亮治さん

---今回リリースされたアルバムは3作品目ですが、以前のアルバムと比べて感じる変化はありますか?

昔やってた音楽より、自分の進みたい方向性に近づくことができたかな、という感触はあります。
決して昔の作品がそうじゃなかったっていう意味ではなくて、やりたい音楽の形を「もう少し皆が分かりやすい形」に上手くデフォルメできるようになったと思います。
それこそ、1stアルバムの時は「アーティスト財部」が前面に出てたと思うんですけど、3rdの時には「THE・POPサウンドを作ります!」って意識して、それが上手にできたので、皆の生活に寄り添ったようなアルバムになれたかなって、思っています。

---「生活に寄り添った」というのは、どのようなイメージでしょうか?

以前、友達の結婚式のために楽曲を作った時もそうだし、ドラマ主題歌や映画主題歌を手掛けた時もそうなんですが、優先するのは「アーティスト財部」としての表現ではなくて「テーマ・状況に合った音楽」なんですよね。
それがいわゆる、生活に寄り添った音楽って思ってます。

---3rdアルバムには、「東海オンエア」のとしみつさんとJENNIさんのお二方とのフィーチャリング曲「アオハレ」が収録され、爽やかなサマーチェーンで人気を集めています。今回、どんなきっかけでコラボに至りましたか?

単純に「3人で曲を作りたいね」って思いが前々からあって、実際に作るきっかけとなったのは「VR動画を5本作る」という企画なんです。

※ VR動画…スマホの動きに合わせて360度見渡せる特殊な動画

そこで「5本中3本はコラボしたいな」って思ってて、アマリリスボム、imiga、それにとしみつとJENNIに声をかけたっていう感じです。

---コラボ制作の裏側で起きた化学反応はありましたか?

今回は僕が発信者となるコラボ作品だったので、実はメロディや歌詞はすべて僕一人で手がけてます。
責任っていうと重い表現ですけど、財部亮治発信だったらしっかり僕が決めていった方がいいかな、と思いました。
でも、いろんな人たちと関わっていくなかで「活動の幅が広がっている」という実感は強くあります。
3rdアルバムでジャケ写を撮影してくれたのもそうだし、クリエイターが集まってくれる頼もしさは心強いです!

---ヒプノシスマイクのカヴァーも話題になりましたね。

そうなんです!あれもすごく楽しかったです。

---あの曲で財部さんにとって初めてコラボした方が多くいたと思いますが、どのようなきっかけでしたか?

「歌い手さん」のグループLINEで、「ヒプノシスマイクのカヴァーを一緒にやる人~!」って、声が掛かったんです(笑)
僕は、垣根がないアーティストっていう自負があって、「歌い手さん」のグループLINEにも入ってるんです(笑)
蛇足さんやうみくんとの繋がりから、入れてもらえました。


「形を選ばない活動」を選ぶ勇気


財部亮治さん

---財部さんは、社会人になってからずっと音楽活動を続けられていますか?

いや、大学を卒業した後は普通に就活していて、ウエディングプランナーで働いていました。
でも、福岡のゴスペルグループ「F.C.G.C」っていうところで音楽活動していた時期があって、その時の繋がりから声がかかったんです。
「福岡で音楽事務所を立ち上げるから、一緒にやらない?」って。それがきっかけでした。

---当初はその事務所で活動していたんですか?

いや、結局その事務所に入ることはありませんでした。
でも思い返してみると、高校生の時はバンドやったり、大学生になってもクラブハウスで歌ったりしていて、遊びみたいな感覚ではあったんですけど、どこかで「音楽やりたい」って思いがあったんです。
その思いに火が点くきっかけとなったのが、その一声でした。

---そこから現在まで、様々な苦難があったと思います。音楽で食べていけるか不安に思っている人に対して、どのようなアドバイスをされますか?

分からないんですけど、僕ができているんだからやっていけると思います。

---財部さん自身も、勝算があって音楽を始めた訳ではなく続けてきた結果が実ったということですよね。

そうです、「どうにかなるやろ」って思ってました(笑)
僕はウエディングプランナーを辞めてこの道に入りましたけど、その仕事を続けていても良いこともあっただろうし、悪いこともあったと思います。
どっちにしろ良いも悪いもあるんだったら、「やらない後悔よりやる後悔」を選択すべきじゃないですかね。
これは、僕の活動のあらゆる根本にあるような気がします。

---最後に、音楽活動で花開くために、若きクリエイターに向けた活動のヒントをお願いします。

僕はYouTuberになろうと思ってなった訳ではなくて、「気づいたらなっていた」っていう方が正しいんです。
クラブハウスで月10本ライブをやっていた時期もあるけど、毎回同じオーガナイザー(主催者)さんだし、お客さんも一緒だし、その中で感じるのは「これはクラブ活動か?」っていう、くすぶる思いでした。
それで、YouTubeに投稿してみると再生回数900回とかで決して多いとは言えなかったんですけど、その数だけ新規のファンに聴いてもらえたってなるとものすごく意味のあることじゃないですか?

---活動の選択肢は、今の時代とても多いですよね。

そうです、だってその辺有名人ばかりじゃないですか(笑)
ツイッター、TikTok、SHOWROOM、イチナナ…知らない人だって実は有名人のような時代なんです。
大手レーベルとの契約もすごいことだと思います。
でも、それだけにしかこだわらないというよりかは、「形を選ばない活動」という勇気も持っていいと思います。


財部亮治さんと集合写真

KVAアーティスト特集「539's」

KVAアーティスト特集
「539's」


「539's」

「熱量を持って、好きを貫く」

KVA在学中、同級生から「ゴミクズ」と言われたことがそのまま名前になった衝撃のHIPHOPユニット「539's」
福岡から世界を目指すオーディション「FUKUOKA ASIAN PICKS」ではHIPHOP唯一のファイナリストで、東京のライブハウスにも出演する注目アーティストです!
KVA音響学科からミュージッククリエイト学科に転科し、卒業からここまでの音楽活動の道のりを取材しました。
若きクリエイターたちにとって、活動のヒントになれば幸いです。

「負の感情だって、音楽の原動力になる」

---まず、現在の主な活動状況について教えてください。

小日向京香)
音源制作をやってる時間が一番長いですが、ライブだと小倉のFUSE、博多のCavan Beatによく出てます。

Hoshi'2)
あと、最近は東京のライブハウスにも出演しました。

---東京には、どういった経緯で出演に至りましたか?

Hoshi'2)
東京のラッパーさんと福岡のライブで共演した後に下北沢のライブハウスの方がそのラッパーさん繋がりで539'sのMVを見てくださり、お声掛け頂きました。

小日向京香)
あ、だから活動には「MVを作る」ってのもあります。
おかげでこうやって繋がった縁もあります。

------楽曲作りは、どのような工程で進めますか?

Hoshi'2)
自分がトラック(音源)をいくつか作って、小日向がリリック(歌詞)を当てるっていう段取りです。

---HIPHOPは、他のジャンルに比べて歌詞の量が多いと思いますが、作詞は大変ですか?

小日向京香)
いや、書く作業はそこまで大変じゃないです。
むしろトラックに当てはまるよう、削る方が大変です。

---539’sの楽曲は、メロディは軽快でポップながら歌詞の節々には妬み・嫌悪などの感情を読み取れるシーンが多く、その絶妙な爽やかさが魅力のひとつだと感じます。そんなリリックを書くには、どこからインスピレーションを得ていますか?

小日向京香)
自分は、割と病みがちなので(笑)
イヤな思いとか、ストレスの衝動がリリックの源になってます。
音楽って、落ち込んだ人を励ましてくれる時、明るくするか、一緒に落ちてくれるかだと思うけど、539’sの音楽はそうじゃなくて、「きみの下にはこんな奴もいるんだよ、だから安心して」
っていう思いが込められています。
だから、そういった負の感情が原動力として必要なんです。

---あ、だから539’sなんですか!?

小日向京香)
いや全然関係ないです(笑)

Hoshi'2)
KVA在学中にバイトもせず音楽ばっかしてたのが俺らだけで、「ゴミクズ」って同級生から言われて、「確かに」と(笑)

「短編小説のような世界観を楽しんでほしい」

---『Abnormal Midnight』の制作の裏側について、お聞かせください。

小日向京香)
Hoshi'2が作ったトラックにリリックを当てる時のやり方って、ストックしておいたものを使う場合と、即興(フリースタイル)でやる場合とがあるんですが、今回は割と即興がハマって、すぐに全体像が出来上がりました。
ただ、初期構造が即興で作られたので、そこからトラック側がリリックに寄せる調整が大変だったと思います。

Hoshi'2)
あの曲は、いつも以上にトラックに対する注文が多かった気がする。
「ベースの音が足りない」とか言われて、だいぶ作りこみました。

小日向京香)
あと、世界観としては短編小説みたいのように、別世界の主人公たちが描く物語になっています。
YouTubeのMVにリリックが載ってあるので、それを見ながら聴いてみると面白いと思います。


---5月3日(ゴミの日)にアップされた同曲のMVですね。MVでは、撮影や演出で意識したことはありますか?

小日向京香)
夜は思考が冴え渡って、普段より捗るじゃないですか。
そういった自分の中で感情や思いが湧いてくる様子を映像を通して出せたらいいなって、思って作りました。

---気に入ったシーンや、見所はありますか?

小日向京香)
観覧車のところですかね。
本当はHoshi'2バージョンも撮ってたんですけど、あとで確認してみたらニヤけてばっかで、全然使えなかった。

Hoshi'2)
観覧車のシーン撮るときは、2周分撮った方がいいです(笑)

小日向京香)
ちなみに撮影してくれたのもKVAの卒業生です。
いろんなところで、繋がってくれてます。

「時間がかかっても、続けた方がいい」

---過去に遡った質問になりますが、539’sとして活動していく決心は、どのようにつきましたか?

Hoshi'2)
最初、自分は音響学科のPA専攻で、小日向はレコーディング専攻だったんですけど、講師の先生が「クリエイターの方が向いてるんじゃないか?」と、アドバイスしてくれて。
そこからサウンドクリエイター専攻に転科(学科変更)しました。

小日向京香)
でも転科した時は、そこまで決心がついていなかったんですけど、音楽イベント専攻が企画した「インスパイアライブ」っていうのに3、4回すべて出演したんです。
あの活動の間で「これでやっていこう」って、決心がついたと思います。

---音楽活動の中で、どんな壁にぶつかってきましたか?

Hoshi'2)
現在進行形でぶつかっている案件があって(笑)「ライブの魅せ方」です。
やはりバンドは見てて伝わりやすいですけど、HIPHOPは難しい。
DJとか特に「あのテーブルで何してんだろう」って思われてそうで、何もしてないって思われるのが嫌だからマイクでコーラスやってます(笑)

小日向京香)
あと、これは壁でもあり手応えもあったんだけど、「FUKUOKA ASIAN PICKS」の決勝に進出したことです。
でも、他のファイナリストが全員バンドばかりで…

Hoshi'2)
…よし、バンドやるか!
ごめんなさい冗談です…(笑)

---逆に、ステップアップや達成感を覚えたのはどんな時ですか?

小日向京香)
やっぱり「FUKUOKA ASIAN PICKS」の決勝進出ですね。
ほとんどの審査員からシビアなジャッジをもらう中で、TAKUYAさん(元JUDY AND MARYのギタリスト)から前向きなコメントを貰った時、嬉しかったです。

Hoshi'2)
あとは、これまでEP版を4つ出してきたんですが、EPが出来上がった時はいつも「やった感」があります。

---これからの活動の展望について、教えてください。

小日向京香)
直近では、8月4日に小倉FUSEでライブに出させてもらいます。
とにかくいろんな人に聴いてもらえるよう、もっと活動エリアを広げていきたいです。

Hoshi'2)
そうして一人でも539'sのことが好きだと思ってくれる人が増えてくれるように、チャンスを掴んでいきます。

---KVAで学ぶ後輩たちに、一言メッセージをお願いします。

小日向京香)
どうにかなる、ってことを伝えたいです。
自分たちも転科してやってこれたんだから、悩んでいるなら「やりたいこと」をやろう。
それで最初はたとえ売れなかったとしても、熱量を持ち続けて好きを貫けば、必ず「何か」に繋がるので。
時間はかかるかもだけど、続けた方がいいと思います。

Hoshi'2)
539’sの音楽も、最初は万人受けしづらいって言われてたけど、今は「539'sらしくて、曲もいい」って言ってもらえるようになって、いろんなライブに出演させて頂けるようになったので。
在学中バイトもせず、金もないゴミクズだったくせに一丁前に高い機材買って、ずっと音楽のこと考え続けて、でも、だからこそ「音楽に対する思いだけは強い」っていう自負だけはあったから、やってこれたんだと思います。
思いを持ち続けて、やってみてください。


集合写真

KVAアーティスト特集「Kay from MELTY LOUNGE」

KVAアーティスト特集
「Kay from MELTY LOUNGE」

「小さな点が、大きな丸を作る」

KVA卒業後「MELTY LOUNGE」としてグループやソロ名義で活動中のシンガー「Kay」
FREAKとのコラボやLEGENDの出演など、福岡を中心にHIPHOPシーンを席巻中!
華々しい活動の背景には、HIPHOPに限らずミュージシャンとして誰しもが持っている「音楽との真摯な向き合い方」が秘められていました。
スキルアップに悩む方には、ぜひ読んで頂けると幸いです。

「歌詞やメロディひとつで簡単に世界観が崩れる」

---無知な質問で大変恐れ入りますが、そもそも「grooozy crew」とは何でしょうか?
「MELTY LOUNGE」とは違うグループでしょうか?

ヒップホップシーンでは、数名のメンバーによって構成された集団をよく「クルー」って呼ぶんです。
「grooozy crew」はラッパー、トラックメイカー、ビートメイカーなどが一緒にやっている集団で、その中に僕たちシンガーの「MELTY LOUNGE」っていうグループが存在している、って考えてもらえると分かりやすいと思います。

---なるほど、よく分かりました!それでは「MELTY LOUNGE」の主な活動状況について、教えてください。

ライブハウスやクラブでのライブ活動が多いですね。
スタイルとしてはR&B、HIPHOPがメインです。

---出演の流れは、どのような流れで決まりますか?

オーガナイザー(主催者)さんに呼んで頂くことがほとんどですが、アクト(出演者)から声がかかってフィーチャリングすることもあります。

---楽曲制作の裏側についてお聞きします。

「MELTY LOUNGE」やソロ名義の「Kay」の楽曲をお聴きして、自然と体が揺れるメロウなサウンドがとても心地よかったです。
そういった曲を作る上でのテクニック、コツはありますか?
僕はシンガーなので、歌い手として心がけていることは「R&Bはアメリカ産である」ということです。
もともと日本のものではない音楽なので、どのように向こうのニュアンスに近づけるかを、常に注意してます。
例えば、米津玄師さんが書く歌詞って直接的な表現よりも深読みするような表現が多いですけど、アメリカってすごいシンプルですよね。

---確かに、アメリカのヒットチャートの歌詞の和訳を読むと「彼女が別の男と遊んでたんだ」とか、「そんな内容なの?」って驚くほどシンプルな場合が多いです。

そう、だから歌詞ひとつにしても向こうのニュアンスに近づける工夫があって、歌い方やメロディにしても「この音は日本っぽいな」っていうのもあるし、やり方ひとつで簡単に世界観が崩れてしまうこともあります。

---ただ、若い世代に「R&B」といってピンと来ないことが増えているとお聞きしました。

そうなんですけど、絶対に皆どこかで耳にしてるはずなんです。
例えば、宇多田ヒカルさんの歌のルーツにもR&Bはあるし、気づいていないだけで、どこかでR&Bには触れていると思います。
R&Bの定義を口で説明することは難しいですが、基本的にはメロウでセクシーな曲だったり、心地よかったりとか、ドライブに出たくなる爽やかな曲だってあります。
だから、聴いてみたら「これってR&Bだったんだ!」って思うはずです。

「あれはメチャクチャ大事なことだったんだなって...」

---KVA在学中の記憶に残るイベントはありますか?

音響学科の音楽イベント専攻が企画してくれたライブですね。
学外の「Cavern Beat」っていうライブハウスに出演しました。
あと、エスペランサホールでカラオケ大会があって(笑)、優勝して賞品を頂いたのを覚えてます。

---その他、印象的だったKVAの授業はありますか?

サウンドクリエイター専攻の五魚先生の授業ですかね。
曲作りに関する授業はもちろんですが、まだ知らない音楽の世界を見せてくれました。
アメリカの有名なラッパー「T-Pain」の『Buy U A Drank』を授業中に聴いたことはよく覚えてるし、今でも聴いてます。

---在学中は気づかなかったけど、今にして思えば重要だったと思えるような授業はありますか?

曲作りにおける「音楽理論」の授業です。
コードの1度2度3度や、コード進行、楽譜の読み方を学ぶんですが、在学中は正直どこか「メンドくさい」って思っちゃってました。
それで、いざ音楽作りをやってみたら「あれ、メチャクチャ大事だったんだな」って、いま痛感してます(笑)

---気づけなかった理由は、何だと思いますか?

恐らく、在学中に明確な目標がなかったからだと思います。
「音楽がやりたい」っていうざっくりした目標しかなくって、悪くいうとチャランポランだったから。
そういった基礎練の大事さを見抜けなかったんだと思います。

「叶わないことじゃなくて、今できること」


「Kay from MELTY LOUNGE」

---卒業後からの音楽活動で「ぶつかった壁」はありますか?

まさに今で(笑)
曲が作りにくくなったって感じてるんです。
メロディが出来上がっても「USっぽくない」って思ったり、「この音より、こっちの音を使いたい」って考えてしまうんです。
少しスランプというか、自分の作った曲に満足できなくなってきてます。

---これまでの楽曲制作は、比較的にスムーズでしたか?

そうですね、『Weeken' Love』なんか2日で出来ました(笑)
でも今みたいなスランプになって、さっきの話に戻るんですが「基礎練をちゃんとしておけばよかったな」って思います。

---逆に、ステップアップを感じた瞬間はありますか?

Brayzzyさんとフィーチャリングさせて頂いた『Hot Bixxh』っていう曲を出せた時ですね。
初披露は久留米の「FLAVOR」っていうライブハウスだったんですが、その時からウケが良くって、すごく盛り上がるんです。

---これからの音楽活動のビジョンを教えてください。

実は、今年に入ってから小さい目標が結構叶ってて、ずっとコラボしたいって思ってたFREAKさんと「Tell Me」って曲で一緒にさせてもらったり、しかもFREAKさんのツアーコンサートでオープニングアクトに出させて頂いて、すごい嬉しかったです。
あと、福岡で最大規模のHIPHOPイベント「LEGEND」がDrum LOGOSで開催されるんですが、そちらにも「MELTY LOUNGE」として出演させて頂きます。

---順風満帆ですね!

だから次は、ワンマンライブを成功させたいです。
あと、今の作曲の壁を乗り越えることができたら、EP版もリリースしたいって考えてます。

---最後に、KVAの後輩にメッセージをお願いします。

そんな偉そうなこと言える立場じゃないんですが、「目標を多く作ることが大事」だと思ってます。
まずひとつ、大きな目標を作ること。
それは「良い曲を作りたい」や「有名になる」とか、曖昧なものでもいいです。
そして、それを達成するための小さな目標を作ってください。
こっちは出来る限り具体的に、目の前にあって今できること、パッと思いつくようなことを選んでください。
例えば、「来週中に1曲作るぞ」とか、「あそこのライブハウスに出るぞ」とか。
そうやって、小さな目標が少しずつ集まっていくと大きな丸になって、大きな目標に辿りつくはずです。

---最初から大きな目標に挑むのではなくて、小さく積み上げて大きな丸を作り上げるのが大事なんですね。小さな目標を見つけるためのコツはありますか?

常にアンテナを張っておく必要があると思います。
そうじゃないと、自分の目標や課題に気がつかない。
僕の場合、よく人のライブを見ていたら「あれいいな」ってインスパイア受けることがあって、その音やパフォーマンスを曲に取り入れたりしてます。
僕は学生生活を漠然と過ごしてしまったので、今の学生にはぜひこれを実現してほしいと思います。
叶わないことじゃなくて、いまできること。
その小さな点が、大きな丸に繋がります。


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たくさんのご参加、お待ちしています!

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●8月9日(金) 10:00~16:00
●福岡国際会議場(2F多目的ホール)
●参加無料 ●入退場自由 ●服装自由
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Special Artist File:01 図鑑(平山カンタロウ)

Special Artist File
「図鑑(平山カンタロウ)」

「気張るとロクなことないです」

KVAのライブサーキットフェスご出演の際に、バンド「図鑑」のVo.&Gt.平山カンタロウさんを独占インタビューさせていただきました!

《楽曲・活動紹介》
● メモリー(トヨタカローラのCMソング)
● ファンファーレ(王様のブランチEDテーマ)
● ゆら、ゆら、ゆら(ドラマ「のの湯」の主題歌)
● DRUM LOGOSでのワンマンライブ開催
● 福岡の大型野外フェス「NUMBER SHOT 2018」出演

若きミュージシャンが抱える悩みや将来の不安、それらとどのように向き合っていくべきか?
平山さんだからこそ語れる言葉にご注目ください。

「音楽が楽しいと感じてから、スタートライン」

---いきなりですが、音楽で食べていけるか不安な人が目の前にいるとして、平山さんなら何と声をかけてあげますか?

難しいですよねぇ。
僕自身、普通の仕事をしながら図鑑の活動を続けてるし。

---平山さんも、普段は別のお仕事をされているんですか?

やってますよ。
音楽だけで食べていくことって難しくて、苦しいことだってあるし、思い通りにならないことも多いです。
でもその分、「音楽でしか楽しめないこと」だってあります。
それが分かるまで音楽を続けてみないことには、スタートラインにも立てていないと思います。

---不安だからと言って二の足を踏んでばかりいては、スタートすら出来ないということですね。

そうですね、まずは音楽で楽しめる方法が見つかるまで続けること。
そこから判断すればいいと思うんです。
辛いと思えば辞めたらいいし、居続けてもいいし。
この話は、音楽以外の業界にも当てはまると思います。

---その分岐点まで続けるためには、どのような工夫が必要ですか?

人と繋がることが大事です。
音楽を続けるってなると収入に繋げる考え方が強くなりがちだけど、まずは「お金ではなく人」との繋がりが、大事だと思います。

「音楽を伝えるのは技術だけど、技術の成長には人が必要」


図鑑(平山カンタロウ)

---「図鑑」の下積み時代を振り返ってみると、どうでしたか?

今も下積みだって思ってます(笑)
でも嬉しいって思うことはあって、レコード会社からCDを出させてもらったり、CMやドラマにタイアップさせて頂いたり、あとは「Number Shot」に出演した時もすごく嬉しかったです。
ただ、それが全部一気にくるわけじゃなくて、
継続して活動してきたから徐々に積み重なった訳なんです。
だから、振り返ってみると「意味のある活動だったな」って思うし、「音楽が楽しい」と感じるまで続ける話にも繋がると思うんです。

---「もっとこんな活動をしておけばよかった!」と、思うことはありますか? 

今はそんなことないんですけど、20代の頃の自分って「人との繋がり」をあまり重視していなかったんです。
ライブ終わったらすぐに帰るみたいな。
でも、そうやって人との距離が空いたが故に気づいたのは、「音楽は技術で伝えるけど、その技術は人がいないと成長できない」ということ。
人が聴いてくれたり、背中を押してくれたりするから、「もっと上手くなろう!」って、思えるんです。
だから、人との繋がりは必要だって痛感した今では、音楽で繋ぐのは「お金ではなく人」って考えるようになりました。
もちろん、繋がりばかり作っていってもしょうがないだから、ちゃんと音楽に対する芯を持った上で、繋がることが大事だと思います。

---ファンから言われた嬉しい言葉はありましたか?

よく聞くような話だとタカをくくっていたんですが、「落ち込んでる時に『図鑑』の曲に助けられました!」って、実際に言われてみるとすごい嬉しかったです。
「本当にあるんだ」って、ビックリしました。
あと、「Number Shot」の出演が決まった時も、自分のことのように喜んでくれるファンの方がいてくれて、その時もとても感動しました。
改めて「音楽って、感動を売る仕事なんだな」って、感じました。

---「音楽は感動を売る仕事」という点について、詳しく伺ってもいいですか?

音楽もそうだけど、世の中にはいろんな商品が溢れていて、その全てに製作者の熱い思いや、掛けた時間が込められていると思うんです。
でも商品の場合、消費者の手に届くまでには時間と場所も大きく開いている。
だから、その熱い思いを感じ取ることは、なかなか難しいと思うんです。
でもライブは、その距離感がなくダイレクトに伝えられるから、製作者の思いが冷めることなく相手に届くんです。
これは当たり前なことだけど、本当にすごいことだと思ってます。

「いい意味のバカさという才能」


図鑑(平山カンタロウ)

---曲作りについてお聞きします。流行や自己表現など、意識していることはありますか?

20代の頃は、ライブでも音源作りでも流行を意識していました。
でも歳を重ねてくると、考え方が変わってくるんです。
「それって要はモノマネで、個性じゃないのでは?」って。
埋もれていく作品群の中で光るものを出すには、結局個性しかないんじゃないかなって。
それに気づいてからは、ナチュラルに自分の中から出てくるものを大事にしています。

---ナチュラルさを出すということは「言うは易し」という印象が強いですが、何かコツはありますか?

制作活動の中で勝手にそうなるもの、自然とそうなるもの、口から出てくる言葉、メロディ、コードを押さえる手、そういった「自分らしさ」を見逃さないようにすること。
あと、流行やマーケットを意識する作業は「アレンジの段階」だと割り切り、作詞作曲の作業に集中することも大事だと思います。
でも、それに気づいたのは20代後半から30代にかけてのことだし、それまでいろんなアプローチを試してきたからこそ分かってきたことだと思うので、続けていれば自然と見えてくると思います。

---音楽の才能はあると思いますか?

存在しない…とは、言い切れないと思います。
でも、才能以外の部分で補えるものも多いです。
例えば自分の場合、いろんなものに触れたり、自分に条件を課すとか、そういった才能以外で伸ばせるパワーも大事だと思います。
あと、これを才能と呼んでいいかは分からないけど、「音楽を続けること」を成し遂げるための才能には、「いい意味のバカさ」っていうのがあると思います。

---それは、どんな才能ですか?

僕らミュージシャンって、ギターや歌とか、音楽というオモチャでずっと遊び続けている子供のような存在だと思うんです。
だから、冷静に客観視できてしまった瞬間に冷めていって、そこで音楽を辞めてしまう人が大半だと思います。
でも「いい意味のバカさ」があると、勘違いできちゃうというか、ずっと遊び続けることができるんです。
あるいは、客観視した自分を二重人格みたいに「この子どもをどうやってプロデュースしようか?」って、考えられる才能があれば、続けることができるんだと思います。

---最後に、若手のミュージシャンに向けてコメントをお願いします。

「気張んなよ」ってことですかね(笑)
気張るとロクなことがない、だから無理しないで。
自分が苦しんでたら音楽なんて楽しめないですよ。
ライブでお金がかかって辛いなら、路上でもいいし。
この辺の話になると、結局また「人と繋がること」が重要って話になって、その人はきっと自分が想像もしてなかった世界に連れてってくれます。
いろんな人と繋がりながら、音楽で楽しむ方法を探してみてください。


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